| 6月8日のWARUKO |
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| 「初恋」 |
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WARUKOがソファでお昼寝しようとコロンと寝っ転がったとき、お隣からきれいなピアノ曲が聞こえて来ました。 |
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「お! この曲は!」
WARUKOは思わず起き上がり、その音色に耳を傾けました。お隣に住んでるmama義妹はとってもピアノが上手なので、WARUKOはいつも聞き惚れてしまうのですが、特に今、この曲には敏感に反応してしまいます。 |
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「はぁ……聞いてるだけで、切なくて泣けて来ちゃうにゃん……」 |
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「……またステキなあの人に会いたくなっちゃったにゃあ……」
実はWARUKOの女心を、ギュッと鷲掴みしてしまった人がいるんです。その人とはテレビの中でしか会えません。聞こえて来るピアノ曲は、その人の番組のテーマ曲だったのです。
「よし。またビデオ観るにゃん!」
WARUKOは早速テレビをつけました。 |
| WARUKOがきちんとお手手を揃えて、食い入るように観ているビデオ……それは韓国のテレビドラマでした。 |
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| 「あ! アップになった! ヨンさまぁ!」 |
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WARUKOは思わずテレビに駆け寄り、大好きなヨンさまを見上げました。
「ヨンさま……ほほえみの貴公子……まさにまさにその通り……にゃんて優しく美しきほほえみ……」
そうなんです。WARUKOはつい最近、初めて「冬のソナタ」を観て、韓国の俳優、ペ・ヨンジュンさまに一目惚れしてしまったのでした。
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「はぁ……初恋かぁ……」
WARUKOはロマンチックな間接照明の中、冬ソナの余韻に浸りました。
「切ないにゃあ……でも初恋は叶わないから初恋にゃんだよねぇ……」
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「そんなことないよ。mamaの知り合いで初恋同士の夫婦、いるよ。他の人とも付き合ったのに、結局初恋の人のトコ、帰っちゃったの」
mamaが突然言いました。
「でも付き合ってる人をふって、初恋の人んトコ帰っちゃうなんて、付き合ってた人が可哀相だと思わない?」
mamaのこの言葉に、WARUKOはピンと来ました。 |
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「あ、さては、それ、mamaでしょ」
「え!?」
「mamaの付き合ってた人が、初恋の人ンとこ、帰っちゃったんでしょ。別れたのはmamaのわがままのせい?」 |
……WARUちゃんたら、するど過ぎ……
WARUKOがおっしゃる通りのことを、実は経験していたmamaです。しかもそれがmamaの初恋だったんです。初恋の人を初恋の人にとられちゃった……まるで初恋の追いかけっこ。 |
「う〜ん……それは冬のソナタに近いモンがあるにゃあ……初恋の人って言うのは、誰の心の中にも特別な居場所があるモンにゃんでしょ? だから追い続けたりしちゃうんでしょ?」
WARUKOに言われ、mamaも思わず頷いてしまいました。 |
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今でもmamaの心の中で、ファーストラブのスペシャルシートに座ってる人は、中学のときの同級生です。
初めてのデートは本屋さん。数学の参考書を買いに行って、その帰り道、ドキドキしながら初めて二人だけで喫茶店に入り、クリームソーダを頼みました。
学校では普通に喋れるのに、喫茶店で向き合って座ったりなんかすると、何か緊張しちゃって、他の人が皆、耳ダンボになってこっちをじろじろ見てるような気がして、とにかく照れ臭くて、何喋ったらいいのかわかんなくて、クリームソーダが運ばれて来るまでのまぁ、長いこと、長いこと!
やっと運ばれて来たクリームソーダに救われて、「このアイスクリーム、おいしいね」「やっぱバニラだよね」なんて会話が、漸くできたのはいいけれど、今度はトイレに行きたくなっちゃって、でも「大きい方してると思われたらイヤだ」なんて思って必死に我慢。
そんでもって、また会話が続かなくなっちゃって、クリームソーダ飲み終わったら、すぐに喫茶店を出ることになっちゃって、でもまだ一緒にいたくて、だけど話題が見つからなくて、その上、トイレに行きたいし、「じゃあ、明日学校で」と言われて、「はぁ、これでトイレ行ける」、なんて、ホッとしちゃったりなんかして。 |
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全然関係ないけど、コレはWARUKOのおトイレタイム。(大きい方)
……失礼しました。(;^_^A……話を元に戻します。 |
初デートのあと、トイレで用を足してすっきりした途端、中学生のmamaは、「まだ一緒にいたかったのに、何でこんなに早く『じゃあ』なんて言い出すのよ」と、一人、ぶちぶち言いながら家路についたのでした。
で、そんなこんなの初々しきお付き合いが暫く続いたあと、結局彼には、mamaのわがままとヤキモチが原因で、見事にふられてしまいました。
卒業後、別々の高校に行って、他の人と付き合ったりもしたんだけど、すぐに「彼とここが違う……ここも違う」なんて、知らないウチに比べてる自分がいて、そのたびに、「どうしよ……まだアイツのこと、好きなんだ……」なんて気づいちゃったりなんかして。
同窓会で久々に再会したとき、「もし同じ高校に行ってたら、また付き合ってた?」って冗談っぽく聞いたら、「かもね」なんて言われて、またまたドキドキしちゃったり。
でもそれっきり。あれが最後の同窓会。彼にはあれ以来、二十ウン年会っていません。そしてクリームソーダも同じ年数飲んでません。多分一生飲まないだろうなぁ。
他の人とは絶対一緒に飲まなかったクリームソーダ……。
それにお酒を覚えてからはすっかり辛党で、あんな甘ったるいモン、とてもじゃないけど飲めなくなっちゃったしね。
そしてう〜んとあとになって聞いたんです。彼がmamaと付き合う前に好きだった人、つまり「初恋の人」と結婚したこと。しかもあの同窓会の頃には既に元サヤだったこと。おまけに、お互い「初恋同士」だったこと。
だからかなぁ……mamaは「初恋同士」ってのにトラウマがあるみたい。
冬ソナのヒロイン、ユジンさんの初恋相手のペ・ヨンジュンさまよりも…… |
こっちのヨンさまを応援したくなっちゃうんです。この人はパク・ヨンハさま。ユジンへの初恋を貫いて、今婚約してる人。
ユジンが初恋の人を忘れられない気持ちもすんごくメ一杯わかるんだけど、こっちのヨンさまだって、ユジンが初恋なんだもん。mamaは女だけど、初恋の人にふられそうになってる、こっちのヨンさまに感情移入しちゃいました。
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| 「それにこの人のお顔が断然mama好み! mamaがユジンなら絶対この人をとるけどな!」とmamaが脳天気に言うと、WARUKOは突然…… |
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BLACK WARUKOに変貌、そして冷たく言いました。
「mamaのどこがユジン?」
「え?」
「mamaにあんにゃにイイ男が二人も、言い寄るワケにゃいでしょ」
「そ、そりゃそうだけど……」 |
「それにmamaにはpapaがいるんだし、もっとpapaの前でもちゃんとしにゃさいよ」
「どういう意味?」
「初恋の人の前ではトイレにも行けなかったくせに、今はpapaの前で平気でおならしたりするでしょ」
「え!? あ、いや、平気でじゃないんだけど、つい……」
「緊張感なさ過ぎ」
「いや、だってさ、もう結婚して十年だよぉ! 十年も経てば緊張感なんか!」と、mamaが開き直ったとき、WARUKOは被せて言いました。
「WARUKOが知ってる限り、papaは一度もmamaの前で、おならしたことなんかにゃい!」
「……」
mamaは暫しの沈黙のあと、「さぁてと! ごはん作らないとね、ごはん!」と、ピューッと逃げて行きました。 |
WARUKOはまた冬ソナのビデオを観ながら思いました。
今度生まれ変わったら、絶対にmamaの子じゃなくて、ヨンさまの唯一無二の愛猫になりたい。
そこに毎日papaが遊びに来てくれればいい。
mamaは……一週間……いや、十日に一回来ればいい。 |
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