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1月15日: 最後の一葉

4年前にある人からパキラをいただいた。
何故か私はこのパキラに入れ込んだ。
私のマンションは陽が当たらない。
夏は約2時間、冬は早朝だけ約30分しか陽が差し込まない。
その間、私は太陽光を追い掛け、日溜まりを探す猫のように、ヨイショヨイショとパキラの鉢植を何度か移動させて、目一杯太陽を浴びさせた。
そうして可愛がってると、パキラはどんどん大きくなった。
当初6、70センチの身長だったパキラが1m20センチぐらいに成長した。
しかも茎をまとめる方法を知らなかったので、左右1m50センチぐらいに淫らに広がった。
美観はゼロ。ただデカくなっただけ。
でも4年もそんなことしてると、異常に愛着が湧く。
そして昨年暮れ、例の京都へ行く時、パキラをルーフバルコニーに出したままにして出かけてしまった。忘れたわけではない。
でかくなって、鬱蒼と葉っぱも繁っていたので、ちょっと鍛えてやろうと思ったのだ。
外で冬を越す経験をさせ、もっと逞しくなって欲しいと思った。
ところが、私が京都のホン打ちで監督にいじめられているとき、パキラは東京で寒風吹きすさぶ中、一枚、二枚と葉っぱを吹っ飛ばされ、しかも強烈な寒さで決定的なダメージを負わされていたのだ。
帰京してすぐにそれに気付き、慌てて家の中に入れたのだが、その日から一枚二枚三枚四枚とたて続けに葉っぱがポロポロと床に落ち、そしてついに最後の一葉になってしまった……。
冬でも鬱蒼と繁っていた葉っぱが今はたったの四枚。そのうちの一枚はもう危篤状態。
あの葉っぱが全部落ちてしまったら、どうしたらいいのか。
私は真剣に考えた。
パキラを諦めて捨てるのか。それとも、春までもう一度葉を繁らせる努力をすべきなのか。
いやそんなことより、あの最後の一葉が落ちてしまったら、何か不吉な
ことが起こるのかもしれない。
毎日、瀕死のパキラを眺めて、そんなことを考えていた。
ところが、楽観主義者石原は、またまたそれを明るい未来に変えてしまった。
あの最後の一葉が落ちたら、何か新しい良いことが始まるんじゃないか。
あの最後の一葉が春まで残ったら、おまえはまだやれるという希望と生命力を私に伝えてくれることになるのではないか。
結局、どっちでも私の未来は明るいのだ。
最後の一葉。今私は、この4年の間で、アイツに一番愛着を感じている。
死の間際、それでも頑張れよと希望を託している。
たかが葉っぱと侮るなかれ。頑張ってる姿は葉っぱだって美しいのだ。
こうして私は我が愛するパキラを見るたびに感動しちゃってるのです。
人間だって、頑張らなくっちゃ。
ちなみに今、私は瀕死のパキラを眺めながら「安楽死」のシナリオを書いている。
そのパキラ、諦めて捨てちゃおうか、駄目と判っていても出来る限りの延命措置を施すか。
執筆中のシナリオと妙にシンクロしていて、神がかりなパワーを感じているのです。

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